早期がんのうちに対処する

工藤進英

内視鏡名医 工藤進英医師

世の中には最初のちょっとした差が、時が経つにつれて雲泥の差になることがありますが、大腸がんにも同じようなことが言えます。早期がんであれば、ほぼ100パーセント完治しますが、進行がんの段階に入ると約20パーセントの割合で他の臓器(肝臓や肺など)に転移していて、治療はそれだけ難しくなります。大腸の検査をしたかどうかが雲泥の差というのは、決して大げさではなく、「生か死」の差になるわけです。

大腸検査はあなたの人生を守る大きな武器

大腸の検査は、あなたの人生を守る大きな武器になります。しかし、残念なことに、大腸の検診率はほとんどの世代で30パーセントを切るという異常な事態となっています。これでは早期がんを防ぐことはできません。しかも早期がんで発見されれば、ほとんどが日帰りの内視鏡治療だけで治ってしまいます。大腸がんほど、「なってから対処するのではなく、なる前に対処する」ことが必要な病気は他にないでしょう。内視鏡検査であれば、その人の腸のいわゆる「腸相」が分かり、「がん体質」であるかどうかも指摘できますので、監視を続けたり生活習慣を改めたりなど、有効な予防措置を講じることも可能になります。

人生設計を滅茶苦茶にしないために!

大腸がんは40歳を境に、死亡確率が急上昇します。40歳といえば、男性も女性も会社や家庭で重要な役を果たす、まさに働き盛りの年代と言えるでしょうか、そんな人にも大腸がんは容赦なく襲いかかるのです。

年齢別大腸がん死亡率

大腸がん年齢階級別死亡率推移

出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター

何人もの患者さんが私の前で、「家のローンもあるし、大変なことになった。どうしよう」と困惑するのを見てきました。また小さな子供さんの写真をそばに助からない40代の女性を多く見てきました。当クリニックは患者さんの大切な人生を守るために全力を尽くしますが、「突然がんになった」という表現には、どうしても賛成できません。前述しましたように、多くのがんは長い時間をかけて、いわば“満を持して”発症するものだからです。

大腸がんの適齢期は40歳と申し上げましたが、それは「最低線」とお考えください。なぜなら大腸がんの原因のひとつである「高脂肪・高エネルギーの肉食中心の食事」の影響は、若年層になればなるほど大きくなると考えられるからです。また、若いうちに発症する難病の炎症性腸疾患もありますので、何か心配があれば20代はともかく30代のうちから検査をするのも、決してムダにはなりません。特に女性の大腸がんは、男性よりも若年層に傾いているので注意してください。